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本物の技術って何
石の世界の本物とは何か、を少しづつ話していく講座。親に物心着く前から与えられるおもちゃは石工の道具だけで育ちました。
最近とても便利な時代になってあらゆる情報がいとも簡単にインターネットで見つかります。
しかし、疑問だらけの動画や技術説明、イベント講座にぶつかると本物って何かなとつくづく思うようになります。。
行政のホームページに出ている為か最近私の所に専門の方(大手ゼネコンの設計部:考古学財団:各公共機関の調査会:業界からの耐震に関する以来)
からの問い合わせが増えて、色々お話を伺う度に、間違いや正しい認識の広報活動をしてほしいと言われます。
依頼される学校からの体験授業や物づくり講座では学生や子供たちに石にまつわる話や歴史文化:高学年には高度な技術の話をしますが
一般の人にも少しづつでもいいから理解できるようにこの講座を始めました。
第1回は石頭(ハンマー)についていかに本物が使われていないかを話します。
写真に載っているハンマーでセットウと呼べるものは左から4本です。右側2本はただのハンマーでセットウではありません
セットウは片側に焼きが入っており鉄が締まっていますが、反対側には焼きが入って無く鉄がやわらかいです。
ノミを打つ時は焼の有るほうで打ちますが反対側で打つとセットウの頭はつぶれてきます。
ノミをあてた力が反対側の軟らかい部分が硬い部分同士の跳ね返りを吸収しているのです。
ただのハンマーは硬さが同じなので叩いた力がそのまま跳ね返ってきます。
これは石にとって非常に負担がかかります。昔の石工は自分のセットウを人に使わせません。
個人個人の打つ癖がセットウの減り具合に現れそれを調整して打てる腕の良い石工にしか触らせないのです。
柄は個人個人に合わせ少し内側に曲がっています。これはは手首の返しを使うので軽い力で
瞬間に強くノミを打ち石に負担を掛ける事無く加工していくのです。
技量のないものがセットウを使うと反対側にしか持たずセットウをつぶしてしまう他ノミではなく、
柄に当てて柄を折ってしまいます。(手首が使えないから)写真にも頭がつぶれている部分がわかると思います。
本物のセットウを知る人も使える人も本当に少なくなってきたのが残念でなりません。